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【石膏】 1. 石膏の種類と組成

印象と模型製作

はじめに

 このサイトは、これから歯科技工士を目指すみなさんや、歯科理工学しかりこうがくを勉強中の、みなさんに向けて、できるだけわかりやすく歯科材料について解説することを目的としています。

 ここでは、先生と歯科技工士を目指す犬(チャチャ)が、お話をしながら歯科材料について勉強を進めていきます。ですので、できるだけ会話のところも読んでいただけると、解説がより頭の中に入りやすくなると思います。

また、文章の中で、大事なところには色や印がついています。

特に、赤い太文字は歯科業界で使う専門用語せんもんようごですので、覚えるようにしましょう。

赤いマーカーのところは材料の名前です。

黄色いマーカーのところは、ポイントになるところです。

そのほかのマークも重要な解説で出てきます。

Checkで囲まれたところは重要なところです。
Pointは知識として知っておくと良いところです。

長い道のりですが、一緒に頑張りましょう。

歯科技工士にとって、最も大切な材料

一番最初は、石膏せっこうという材料について学習していくよ。

美術室に飾ってある、あの白い像って確か「石膏」でできているんだったよね。歯科技工士は、石膏を何に使うの?

美術室の石膏像

歯科技工士は石膏をいろいろな場面で使うよ。

でも、一番のメインは、患者さんの歯の模型を作るために使うよ。

 

歯科医院では、治療が必要な患者さんの入れ歯やかぶせものを作る前に、まずお口のかたをとるんだ。その型を使って歯の模型を作るよ。

石膏模型

ぼくも、自分の歯の模型が欲しいなあ!

石膏模型の作り方

石膏って聞いたことはあるけれど、見たことないし、よく知らない! という人は多いと思います。まずは石膏を使った模型の作り方について、説明します。「もう知ってるよ!」って人は読み飛ばしてOKです。

基本石膏模型の作り方

1 石膏の粉をはかります。(石膏 100g で、模型1つ分に相当します。)

2 必要な水をはかります。

3 石膏と水をラバーカップに入れ、30秒程度、スパチュラで混ぜ合わせます。

4 粉と水が混ざり、クリーム状になったら、型の中に流し込みます。

5 流し終わったら、固まるまで待ちます。

6 固まったら型から外せば、模型の出来上がり。

石膏を混ぜるときのヘラを、スパチュラといいます。

また、石膏を流し込むときに、型のすみずみまで石膏が入るように、バイブレーターという電気で振動する台を使います。

石膏を型に流し込むことを「石膏を」といいます。

上:石膏スパチュラ 下:アルジネートスパチュラ
バイブレーター

 

↓こちらも参考にしてください。

石膏模型の作り方が写真付き解説されています。「材料ハンドブック(ジーシー)」

実習の手引き | II 石こう | 歯科材料はんどぶっく | 会員専用ページ
臨床上重要で使用頻度の高い“印象材”“石こう”“セメント”に焦点を絞り、各種材料の基本的な性質の概略と操作法の要点について、ご紹介させていただきます。

歯科で使う、専門のことばも覚えていこうね。

練和れんわ・・・2つ以上の物質をしっかりと練り、混ぜ合わせること。石膏を練和している時間のことを、練和時間という。

混水比

石膏を扱う時には、石膏の粉と水の量がとても重要だよ。どれくらいの分量が必要かは、石膏が入っているパッケージに書いてある”混水比”という数字をみて判断するよ。

ぼくは比率とか、数字や計算が苦手なんだよなあ・・・。

混水比こんすいひ・・・石膏(Powder)と水(Water)の量の比率を表した値のこと。

例えば、混水比が0.23(W/P)と決まっている石膏があるとするよね。

その場合、その石膏の標準混水比ひょうじゅんこんすいひは0.23(W/P)です、と表すよ。

その石膏100gを使うときに必要な水の量は23ml(g)を意味するよ。

 

石膏を使うときには、標準混水比を守って使うことが推奨されているよ。そうしないとうまく取り扱えなかったりするんだ。詳しくはまた別の機会に説明するよ。

 

実際に石膏模型を作るときは、次の式を使って、必要な水の量を計算で求めることができるよ。

 
水の量 ml(g) = 石膏の量 (g) × 混水比 (W/P)

じゃあ、石膏を50g使うときに、標準混水比が0.23だったら、

50かける0.23で、答えは11.5だ。

必要な水の量は、11.5 ml(g)ってことか。

 

これくらいなら、ぼくも計算できるよ。

手で練和する方法以外に、器械きかいで練和する方法もあります。

歯科技工用真空攪拌器しんくうかくはんき

カップの差し込み部

攪拌かくはん(練和)カップ

羽付きのふた

器械には真空ポンプが内蔵されていたり、外付けの真空ポンプがつながっていて、カップの中の空気を調整するよ。

これを使うと、練和中にカップの中を減圧した状態で石膏を練るので、石膏に空気の泡(気泡きほう)が巻き込まれにくくなるというメリットがあるよ。

 

精密で正確な石膏模型を作るためには欠かせない器械だよ。

 

 

石膏にはどんな種類があるの?

一言で石膏といっても、壁等に使う工業用の石膏もあります。

特に、歯科で使う石膏は、歯科用石膏といいます。歯科用石膏は2種類あります。

歯科用石膏

  • 普通ふつう石膏
  • 硬質こうしつ石膏

硬質石膏の中でも、固まったときに強度が大きく、形の変化が小さい石膏を、超硬質ちょうこうしつ石膏といいます。

普通の硬さの石膏が普通石膏、それよりも硬い石膏が硬質石膏?

「超」がつく硬質石膏は、ぼくの歯よりも硬いのかなあ〜?

分類するということ

突然ですが皆さんは、次の6つの生き物を2つのグループに分類できますか?

  • シマウマ
  • メダカ
  • サメ
  • マンボウ

例えば、次のように分類できますね。

陸に住む・・象、しまうま、犬 / 水中に住む・・メダカ、サメ、マンボウ

このように、いくつかのものを共通点で分けることを、分類すると言います

歯科材料はたくさんの種類があるので、どんな分類があるのかを毎回必ず確認する必要があります。

歯科用石膏の分類

歯科用石膏の分類

歯科用石膏も共通点で分けると、5つのタイプに分類できます。

分類名にある、焼石膏しょうせっこうとは、普通石膏のことを指しています。

タイプ分類名用途硬化膨張こうかぼうちょう
(2時間)
(%)
圧縮強さあっしゅくつよさ
(1時間)
MPaメガパスカル
焼石膏印象採得いんしょうさいとく0~0.154.0~8.0
(クラス1)焼石膏咬合器装着こうごうきそうちゃく0~0.059.0以上
(クラス2)焼石膏模型用もけいよう
義歯埋没ぎしまいぼつ
0.06~0.39.0以上
硬質石膏模型用
義歯埋没
0~0.220.0以上
硬質石膏模型用
低膨張ていぼうちょう
0~0.1535.0以上
硬質石膏模型用
高膨張こうぼうちょう
0.16~0.335.0以上
歯科用石膏のタイプ別分類

 

さっき説明した「石膏模型」を作るための石膏の分類だと、

普通石膏はタイプ2(クラス2)、

硬質石膏はタイプ3、

超硬質石膏はタイプ4 に相当するよ。

急に難しくなってきたよ(汗)

硬化ぼーちょう・・・? 

あっしゅく強さ・・・・???

後でちゃんと解説するから、今は意味がわからなくてもあわてなくて大丈夫だよ。

 

ここでは、歯科用石膏は普通石膏と硬質石膏(超硬質石膏)があることを、

覚えておこうね。

石膏って何?

石膏って、一体何者なんだろう。水と練ると固まる特別な粉なのかな。

化学的には硫酸カルシウム(CaSO4)に水(H2O)が結合した結晶を石膏というよ。硫酸カルシウムは、自然界にたくさん存在してるんだ。

え〜〜、じゃあ、ぼくがよく散歩に行く公園の砂場にも硫酸カルシウムが落ちてるのかなあ。

石膏は、工場で作られる化学石膏と、天然の石膏原石を加工する天然石膏があって、どちらも基本的には工場で加工して作られるんだよ。

 

海外には石膏原石が採れる巨大な採掘場さいくつじょうがあるんだ。そこで天然石膏の二水石膏にすいせっこうとよばれる原料の塊を集めてきて、工場でこなごなに砕かれて加熱され、半水石膏はんすいせっこうとよばれる状態にするよ。

 

実際に私たちが使う粉の石膏は、すべて「半水石膏」なんだよ。


半水石膏・・・硫酸カルシウムに2分の1の水分子が結合した結晶。

化学式:CaSO4・1/2H2O

二水石膏・・・硫酸カルシウムに2つの水分子が結合した結晶。 

化学式:CaSO4・2H2O

 

結晶・・・固体のなかで、ある性質をもったもの。粒子が規則正しく並んだもの。

二水石膏のかたまり
半水石膏の粉

α半水石膏とβ半水石膏の特性と役割

二水石膏から半水石膏が作られるのだけど、実は加熱方法を変えると、特徴の違う2種類の半水石膏ができるんだ。

それぞれ、αアルファ半水石膏βベータ半水石膏というよ。

 

次の写真は、それぞれの結晶けっしょうを電子顕微鏡で撮影したものだよ。

α半水石膏 (電子顕微鏡写真)
β半水石膏 (電子顕微鏡写真)

アルファの方は、表面が平らだけど、ベータは、表面が穴だらけだ〜。

2つの違いをみてみましょう。

α・β半水石膏の特性

特性
α半水
石膏
・二水石膏を圧力釜中で湿式しっしき加熱して作られる。

・結晶表面は、緻密ちみつで(ぎゅっとつまっている)均質きんしつな性状である。

かさ密度みつどが大きい

練和に必要な水は、β半水石膏と比べて少ない。
β半水石膏・二水石膏を大気中で加熱して作られる。

・結晶表面は、多孔質たこうしつ(穴がたくさん開いている)で海綿状かいめんじょう(スポンジのような状態)

かさ密度が小さい

練和に多くの水を必要とする。
かさ密度・・・一定の大きさの容器に粉を入れ、その重さを体積としたときの密度のこと。

α・β半水石膏の役割

α半水石膏は硬質石膏の原料に、β半水石膏は普通石膏の原料になります。

普通石膏β半水石膏が主成分の石膏。混水比は0.35〜0.50W/P
硬質石膏α半水石膏が主成分の石膏。混水比は0.24〜0.30W/P
超硬質石膏α半水石膏が主成分の石膏。混水比は0.20〜0.26W/P
歯科用石膏とその原料・混水比

石膏って、奥が深いね・・・。

一度、ノートに書いて整理しなきゃ!

本日は、ここまでにしましょう。

 

新しく出てきた専門用語がたくさんあるけど、国家資格をとって、歯の専門家になるためにはみんなが必ず通る道だよ。

 

あせらずに一つずつの理解を積み重ねていけば、きっと大丈夫だからね。

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