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【原型材料】 3. 原型材の一般的性質 フロー・熱応力・内部応力

原型材料

今回は、原型材料の一般的性質の続きから学習していくよ。

インレーワックスの一般的性質 3 フロー

ワックスが柔らかくなると、塑性変形を示して形を変えたりできることを前回勉強しました。この、ワックスの柔らかさのことを専門用語で、フローというよ。

フロー・・・ワックスをある温度で温めた時の柔らかさのこと。フロー(flow)は英語で「流れ」という意味。

製品の基準を決めるISOやJISについては、以前に出てきたよね。

インレーワックスも、JISによってフローが大きいワックスを軟質なんしつ、フローが小さいワックスを硬質こうしつと2種類に分類されているよ。

温度(℃)硬質(直接法用ちょくせつほうよう軟質(間接法用かんせつほうよう
301.0以下
371.0以下
4020.0以下50.0以上
4570.0〜90.070.0〜90.0
インレーワックスの分類(JIS T6503) 表の数字は変形率(%)。

この、硬質と軟質の横に書いてある直接法とか、間接法って何?

模型で原型を作るために使う目的のワックスを間接法用、

口腔内で使う目的のワックスを直接法用

としているよ。

直接法用インレーワックス・・・口腔内の歯で直接、パターンを作るためのワックス。口腔内の温度(約37℃)ではほとんどフローはなく、40℃以上で少しフローを示す。
間接法用インレーワックス・・・模型上の歯で、パターンを作るためのワックス。口腔内の温度(約37℃)ではほとんどフローはないが、40℃以上で大きなフローを示す。

インレーワックスの一般的性質 4 熱応力

インレーワックスの性質は、軟化する、それから、熱膨張と収縮がある、フローがある、これでおしまいかな?

最後にとても重要な性質について話すよ。これを知らないと、ワックスパターンが正確に作れないから、重要だよ。

 

ワックスを使って形を作るときには加熱が欠かせません。加熱と冷却を繰り返すことはつまり、熱膨張と熱収縮を繰り返すということです。

しかし、下の図のようにワックスが石膏模型で囲まれたりしている、すなわち「拘束こうそくされている」(変形したい方向に自由に動けない状態)と、膨張や収縮ができる部分とできない部分が出てきます。

これによって変形したいのにできなかったワックスの内部には熱応力ねつおうりょくという力が蓄積されます。

インレーワックスは、動きたくてもできない状態で、なんだかストレスがたまってそうな感じがするね?

その通り!イメージは近いね。

実は、「応力」は英語で「ストレス(stress)」というよ。

私たちも、自由にできなかったり狭いところに閉じ込められていたらストレスがたまるもんね。ワックスも同じだよ。

 

インレーワックスの一般的性質 5 内部応力と応力緩和

ワックスを操作するためには、熱応力を如何にうまくコントロールできるかがとても重要です。

そこで、ワックスが変形しないようにするための方法として、冷えて固まるまで指などで模型に密着させたまま固定します。この作業を圧接あっせつといいます。

圧接することでワックスに加わる力を外部応力がいぶおうりょく(外側から加えられる力)といいます。

一方、ワックスでは、この外部応力に抵抗する力、内部応力ないぶおうりょくが生じます。力が加われば加わるほど内部応力も同じだけ大きくなり、ワックス内部に蓄積ちくせきされていきます

圧接が終わり、指をワックスから外すと、外部応力は0になります。

しかし、ワックスの内部には内部応力が残ったままの状態になります。残った応力を残留応力ざんりゅうおうりょくといいます。

残留応力は時間とともに解放されて無くなります。この現象を応力緩和おうりょくかんわといいます。 

ワックスパターン製作での注意点

インレーワックスの性質について勉強してきました。

最後に、ワックスパターンを作るときに注意する作業についてまとめていくね。

 

上手にワックスパターンを作るときに注意しなければならないのは「温度」「力」です。特に、内部応力が発生すると、元の形に戻ろうとするので、変形の原因となります。

ワックスパターンに内部応力が発生する作業

  • ワックスを軟化させて圧接するとき。加圧されたワックスは、加圧されていないワックスと比較して熱膨張率がさらに大きくなります
  • 軟化や、溶融した状態から硬化するまでに熱応力が起こったとき。
  • 一部分だけ溶かすなど、ワックスパターン内で温度差が生まれたとき。特に、スプルーを取り付けるときなど。
  • ワックスパターンを模型から外したり、元の位置に戻したりをくりかえして力が加わったとき。

ワックスパターン製作の注意点

  • ワックスを軟化させて圧接したら、模型からパターンを外さずに放置し、応力緩和させること。
  • ワックスを出来る限り低い温度で軟化すること。硬化するまでは圧接するなどして変形を防ぐこと。
  • スプルーを立てるために一部分だけ溶かすときは、できるだけ低い温度で作業すること。ワックスパターンに極端な温度差を作らないこと。
  • ワックスパターンを何度も模型から外したり戻したりしないこと。無理な力を加えないこと。

ワックスパターンは複雑な形状をしているので、実際にどのように変形するかは未知数です。

ワックスが薄く変形しやすい模型との境目(マージン)を作る作業はマイクロスコープを使うなどして作業しましょう。

これで原型製作は、おしまいです。

今日勉強したことは実習で必ず知識だよ。

 

次回は、入れ歯の材料である、レジンついて学習を始めていきます。

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