掲載されているコンテンツ(記事、文章、画像、動画、音声、PDFなど)の転載、転写、転用等無断使用はお断り致します。

【原型材料】 2. 原型材の一般的性質 軟化・熱膨張・収縮

原型材料

原型材料の性質

でははじめていきましょう。

今回は、原型材料の一般的性質について学習していくよ。

性質って、強さとか硬さとかのことだったよね。

ワックスも硬化時間があるのかな?

ワックスは、前回話したように、加熱すると軟化して、冷めると硬化する物質なんだよ。この温度変化によって、ワックスは膨らんだり縮んだりするんだ。

ワックスが膨らむの!?

想像つかないなあ〜。

ここでは、原型材料の、特にインレーワックスに焦点を当てて

その性質についてみていきましょう。

インレーワックスの一般的性質 1 軟化

ワックスが柔らかくなる温度を軟化温度なんかおんどというよ。インレーワックス の軟化温度は45〜55℃です(製品による)。軟化温度に幅があるのは、ワックスそのものが、いくつかの材料を混ぜた混合物だからだよ。

軟化温度・・・ワックスが軟化する温度のこと。
ワックスの軟化・・・加熱されて軟化したワックスは、脆さがなくなり、粘りが出る。また、この時に力を加えることで、簡単に変形できる(=塑性変形を示す)。

一度変形させたら元の形には戻らないような変形は、なんと言ったかな?

えーーっと、変形には2つあって、弾性変形と塑性変形があったね。

力を加えて元に戻らないのは 塑性変形 だね!

正解!!よく覚えていたね。

軟化したワックスは塑性変形を示すよ。このように、熱によってやわららかくなる性質を熱可塑性ねつかそせいというよ。印象材で出てきたモデリングコンパウンドも熱可塑性材料だったね。

 

インレーワックスの一般的性質 2 熱膨張と収縮

インレーワックス他にはどんな性質があるの?

インレーワックスは、加熱・冷却を繰り返すときに、膨張ぼうちょうしたり収縮ふしゅうしゅくしたりするよ。この現象を熱膨張ねつぼうちょう熱収縮ねつしゅうしゅくというよ。

 

基本的に、物質は加熱すると膨張し、冷却すると収縮するよ。

 

熱膨張・・・温度の上昇にともなって、物質の体積が膨張したり、長さが膨張する現象のこと。体積が膨張するたい膨張と、長さが膨張するせん膨張の2種類がある。
熱収縮・・・温度の低下にともなって、物質の体積が収縮したり、長さが収縮する現象のこと。体積が収縮する体収縮と、長さが収縮する線収縮の2種類がある。

どれくらい膨張(収縮)するかを表す数字熱膨張係数ねつぼうちょうけいすうと言います。

インレーワックスの熱膨張係数は 350〜450 × 10ー6 /℃ で歯科材料の中で最大です。(10ー6:じゅうのマイナスろくじょう と読む)

熱膨張係数・・・温度が1℃上がるときに、1mの長さの物質が膨張(収縮)する量を表す。この値が大きいほど、温度変化による物質の変化量が大きくなる。

この熱膨張係数から、何がわかるの?

熱膨張係数を使うと、どれくらい膨張するかがわかるよ。

インレーワックスの温度変化と体膨張率(%)まとめ

  • 10上げる0.35〜0.45%線膨張 10下げる0.35〜0.45%線収縮
  • 20℃上げる:0.70〜0.90%線膨張 20℃下げる:0.70〜0.90%線収縮
  • 30℃上げる:1.05〜1.25%線膨張 30℃下げる:1.05〜1.25%線収縮

これらの膨張率と収縮率は国家試験で問われやすいので、覚えておこう。

詳しくは、下の【復習】乗数計算について、【復習】なぜ乗数で表すの?、熱膨張係数の計算を読んでね。

【復習】乗数計算について

 

熱膨張係数で出てきた10ー6という形はを乗数というよ。正の乗数と負の乗数があるよ。

【復習】乗数計算

正の整数乗・・・x が正の整数 n の場合, anan 回かけたもの、これは中学数学の累乗計算で習います。 

例 2×2×2=23=8

負の整数乗・・・x が負の整数 n の場合, an は1/ aーn となります。

例2ー3=1/23=1/8=0.125

【復習】なぜ乗数で表すの?

なぜインレーワックスの熱膨張係数は、乗数を使って350〜450×10ー6で表すの??わかりにくい〜・・・

では、350〜450×10ー6を少数にしてみましょう。

350〜450×10ー6 =350〜450 × 1/106

          =350〜450 × 1/10×10×10×10×10×10 

          =350〜450 × 1/1000000

          =0.00035〜0.00045 ←0が多くてわかりにくい

少数で表すと0が多くてわかりにくい数値 → 「乗数」で表す(10ー6

あれれ???00000・・・0が多くても、わかりにくいね。

乗数って意外と便利だね。

熱膨張係数の計算

温度変化がΔTデルタティーの時、長さがloエルゼロの物質がΔlデルタエル伸びた時、次の式が成り立ちます。

Δl = α × lo × ΔT α:熱膨張係数 

これはつまり

膨張した量(m)= 熱膨張係数 × 1(m) × 温度変化量(℃)ということです。

Δ (デルタ) という記号 (ギリシャ文字) は、しばしば「何かがちょっとだけ増えた量」を表すのに使われます。例えば時刻が t で表されているとしたら、Δt という量は「ちょっとだけ時間が経った」ということを表します。

https://math.keicode.com/calculus/what-is-delta-x.php

参考:https://math.keicode.com/calculus/what-is-delta-x.php

この式を使って、問題を解いてみましょう。

 
例題)インレーワックスを20℃から40℃の温度を上昇させたときの線膨張率(%)を求めなさい。

 

まず、先ほどの式に数字を当てはめていこう。

式:膨張した量(m)= 熱膨張係数 × 1(m) × 温度変化量(℃)

          = 0.00035〜0.00045 × 20

             = 0.007〜0.009 

 →つまりインレーワックスを20℃温めると0.007〜0.009 m 伸びる

次に、線膨張率を求めよう。0.009mは、1mの何%に当たるのか、百分率ひゃくぶんりつ(%)で表しましょう。

百分率とは、全体を100とした時の割合のことです。単位にパーセント(%)を使って表します。(中略)百分率を使う理由は、日常生活で割合をわかりやすくするためです。

https://sci-pursuit.com/math/calculation-of-percentage.html
 

ぼくはお買い物で、30%オフとか、50%割引って書いてあると、ついつい買っちゃうんだよね。

百分率の計算式:

百分率(%)=比べられる量 ÷ 元にする量 ×  100%

      =0.007〜0.009(m) ÷ 1(m) × 100

      = 0.7〜0.9

答え:0.7〜0.9 (%)

【まとめ】物質(固体・液体・気体)の膨張・収縮

歯科材料を使い、様々な形に加工するときは、加熱や冷却などの温度変化がともないます。どんな物質も、加熱すると膨張し、冷却するると収縮するということを理解しておきましょう。

熱膨張・・・温度の上昇にともなって、物質の体積が膨張(体膨張)したり、長さが膨張する(線膨張)現象のこと。体積が膨張する体膨張と長さが膨張する線膨張の2種類がある。
熱収縮・・・温度の低下にともなって、物質の体積が収縮(体収縮)したり、長さが収縮する(線収縮)現象のこと。体積が収縮する体収縮と長さが収縮する線収縮の2種類がある。

材料の温度が上がると、原子の熱振動が生じて、原子と原子の間の距離が広がるので、膨張するんだよ。

 

固体・液体・気体でそれぞれ熱膨張が異なるよ。高校の理科で勉強したから覚えている人もいるかな?

熱膨張係数ねつぼうちょうけいすう(熱膨張率)・・・温度が1℃(Kケルビン)上昇したときに膨張する量を表す数値のこと。または、その割合のこと。
熱伝導率ねつでんどうりつ・・・熱の伝わりやすさを表す数値のこと。物質によって異なる。数値が大きいほど、熱は伝わりやすく小さいほど熱が伝わりにくいことを示す。固体の熱膨張・・・線膨張と体膨張の両方について考える。
  • 固体の熱膨張・・・体膨張と線膨張について考える。
  • 液体の熱膨張・・・体膨張のみについて考える。
  • 気体の熱膨張・・・体膨張のみについて考える。気体の体膨張率はシャルルの法則に従い、”どの気体でも”圧力が一定の時、温度が1℃上昇するごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張していきます。

今回は、ここまでにしましょう。

最後のまとめの項目は、今は読むだけでOKです。

 

次回は、インレーワックスの一般的性質の続きからです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました