シリコーンゴムってなんだろう?

今回は、シリコーンゴム印象材について学習していくよ。

シリコーンって、そもそもなんだろう?
シリコーンは人工的に作られた物質です。原料であるSi(ケイ素(シリコン(silicon)))に酸素(O)などを結合させた物質を「シリコーン」と言います。

シリコンとシリコーン、名前は似ているけど、全く別のものなんだね!

まずは、シリコーンゴム印象材の使い方を見ていこう。
シリコーンゴム印象材の使い方
【基本】シリコーンゴム印象材(ガンタイプ)の使い方(印象採得)
1. 写真は、シリコーンゴム印象材(ガンタイプ)です。レバーのついた押出し装置にシリコーンゴム印象材をセットします。

2. 先端には、使い捨てチップを取り付けます。細さはいろいろあります。部位に合わせて使い分けます。

3. 本体のレバーを引くと2種類のシリコーンゴム印象材がチップの中で混ざり合っ出てきます。これを適量トレーに盛ります。
4. 印象採得を行います。
5. 口腔内から撤去し、水洗し、消毒します。

6. 石膏を注ぎます。
シリコーンゴム印象材の種類と分類
稠度による分類
シリコーンゴム印象材は、使う用途に合わせて、様々な稠度(ペースト状の物質の硬さ、流動性のこと)のペーストが市販されています。
- 最も稠度が低い(流れやすい):ライトボディタイプ(インジェクションタイプ)
- 中間の稠度:レギュラータイプ
- 最も稠度が高い(流れにくい):ヘビーボディタイプ


稠度の違う印象材を使い分けます。ライトボディタイプは流れやすいけど、形を保つ力は弱いから、ヘビーボディタイプなどと一緒に使われるよ。


だから、この写真みたいに、2色のしりこーんごむ印象材が混ざっているんだね。2つの種類を使っているんだね!
形状による分類
先ほどの「シリコーンゴム印象材の使い方」で紹介したガンタイプを含め3つのタイプがあります。
- ペーストタイプ(2種類のペーストをチューブから出して混ぜ、射出器に詰めて使うもの)
- パテタイプ(2種類の硬いペーストを混ぜるもの)
- ガンタイプ(2種類のペーストを専用の射出器で混ぜて出すもの)


その他、歯科技工では、模型を複製するための 複印象用(専用の器械にボトルをセットして、2つのペーストを混ぜるもの)があり、よく使われます。



シリコーンゴム印象材ってどんな印象材?
硬化のしくみ 1重合反応について
シリコーンゴム印象材は2種類のペースト
- ベース(base : 基剤)
- キャタリスト(catalist : 触媒、反応を促進させる物質)
を混ぜ合わせます。すると、重合という化学反応が起こり、硬化します。
重合のイメージ

詳しくは次のリンク先に目を通してください。

硬化のしくみ 2シリコームゴム印象材の成分と役割

シリコーンゴムの話に戻るよ
シリコーンゴム印象材は、重合反応が縮重合の縮合型と重合反応が重付加の付加型の2種類があります。
(縮合型)シリコーンゴム印象材の成分と役割(一例)
成分 | ベース/キャタリスト | 役割 |
ポリジメチルシロキサン | ベース | 主成分 |
炭酸カルシウム、コロイダルシリカ | ベース/キャタリスト | 充填剤(フィラー) |
エチルシリケート | キャタリスト | 主成分 |
カプリル酸スズ | キャタリスト | 硬化時間調整 |



(付加型)シリコーンゴム印象材の成分と役割(一例)
成分 | ベース/キャタリスト | 役割 |
ポリジメチルシロキサン | ベース/キャタリスト | 主成分 |
コロイダルシリカ | ベース/キャタリスト | 充填剤(フィラー) |
白金触媒 | キャタリスト | 硬化時間調整 |




ポリジメチルシロキサンは、シリコーンの一種だよ。コンタクトレンズや塗料など、身の回りでもたくさん使われているよ。

そうなんだあ!
縮合型シリコーンゴム印象材の硬化のしくみ
キャタリストとベースを混合する。
エチルシリケートがポリジメチルシロキサンに作用し反応が起こる。カプリル酸スズがこの反応を促進させる。
縮合反応(重縮合)が起こり、シリコーンゴムの架橋構造(網状の構造のこと)ができ、エタノールを放出しながら硬化する。
付加型シリコーンゴム印象材の硬化のしくみ
- キャタリストとベースを混合する。
- ベースに含まれるポリジメチルシロキンのSiーH基の水素原子が、キャタリストのポリジメチルシロキサンのビニル基(CH2=CH2ー)に作用し反応が起こる。白金がこの反応を促進させる。
- 付加反応(重付加)が起こり、シリコーンゴムの架橋構造ができ、硬化する。

シリコーンゴム印象材の硬化のしくみは難しいね。
まずは、赤字の言葉を覚えよう。
縮合反応は、その名の通り、全体が収縮するような反応だよ。だから縮合型シリコーンゴムは、硬化後に収縮するよ。
付加型シリコーンゴム印象材は、縮合型よりも新しく開発されたもので、硬化後の収縮がほとんどないよ。
シリコーンゴム印象材を使うときの注意点
【その1】グローブ(手袋)に注意
シリコーンゴム印象材は、ラテックスグローブをしたままペーストを直接触ることで硬化阻害される(硬化しにくくなる、または硬化しなくなる)ことがあります。プラスチックグローブを使うようにしましょう。また、ハンドクリームの油分なども、硬化阻害の原因になることがあるので、注意しましょう。

【その2】付加型は、硬化後のガスの発生に注意
付加型シリコーンゴム印象材の中には、硬化反応で水素ガスが発生するものがあるので、製品の取扱説明書をよく読み、もし発生する場合は、硬化後に少し時間をおいてから石膏を注ぐようにしよう。

また、新しい言葉がたくさん出てきたけど・・・。

本日は、ここまでにしましょう。お疲れ様でした。
次回はゴム質印象材の続きと、他の印象材について解説していきます。
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