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【印象材】 3. ゴム質印象材 ①シリコーンゴム印象材

印象と模型製作

シリコーンゴムってなんだろう?

今回は、シリコーンゴム印象材について学習していくよ。

シリコーンって、そもそもなんだろう?

シリコーンは人工的に作られた物質です。原料であるSi(ケイ素(シリコン(silicon)))に酸素(O)などを結合させた物質を「シリコーンと言います。

シリコンとシリコーン、名前は似ているけど、全く別のものなんだね!

まずは、シリコーンゴム印象材の使い方を見ていこう。

シリコーンゴム印象材の使い方

【基本】シリコーンゴム印象材(ガンタイプ)の使い方(印象採得)

1. 写真は、シリコーンゴム印象材(ガンタイプ)です。レバーのついた押出し装置にシリコーンゴム印象材をセットします。

2. 先端には、使い捨てチップを取り付けます。細さはいろいろあります。部位に合わせて使い分けます。

3. 本体のレバーを引くと2種類のシリコーンゴム印象材がチップの中で混ざり合っ出てきます。これを適量トレーに盛ります。

4. 印象採得を行います。

5. 口腔内から撤去し、水洗し、消毒します。

6. 石膏を注ぎます。

シリコーンゴム印象材の種類と分類

稠度による分類

シリコーンゴム印象材は、使う用途に合わせて、様々な稠度ちゅうど(ペースト状の物質の硬さ、流動性のこと)のペーストが市販されています。

 
  • 最も稠度が低い(流れやすい):ライトボディタイプインジェクションタイプ
  • 中間の稠度:レギュラータイプ
  • 最も稠度が高い(流れにくい):ヘビーボディタイプ

稠度の違う印象材を使い分けます。ライトボディタイプは流れやすいけど、形を保つ力は弱いから、ヘビーボディタイプなどと一緒に使われるよ。

だから、この写真みたいに、2色のしりこーんごむ印象材が混ざっているんだね。2つの種類を使っているんだね!

形状による分類

先ほどの「シリコーンゴム印象材の使い方」で紹介したガンタイプを含め3つのタイプがあります。

 
  • ペーストタイプ(2種類のペーストをチューブから出して混ぜ、射出器に詰めて使うもの)
  • パテタイプ(2種類の硬いペーストを混ぜるもの)
  • ガンタイプ(2種類のペーストを専用の射出器で混ぜて出すもの)
パテタイプ

その他、歯科技工では、模型を複製するための 複印象用(専用の器械にボトルをセットして、2つのペーストを混ぜるもの)があり、よく使われます。

複印象用シリコーンゴム印象材

2つのペーストを混合して型に注ぐ
硬化後、模型を外したところ

シリコーンゴム印象材ってどんな印象材?

【その1】アンダーカットのある精密印象採得に使う。ライトボディータイプ(インジェクションタイプ)、レギュラータイプで行います。弾性印象材なので、アンダーカットのある場合に使える。隙間や凸凹のような細部まできちんと型がとれる(=高い流動性がある口の中の唾液などの水分となじみやすい(=親水性あり)タイプもある。
【その2】適度な強度がある。シリコーン印象材は強度があるため、口腔内から撤去する時も千切れるにくい。
【その3】高価である。一般的には健康保険のきかない、自費診療じひしんりょう(自由診療)で使われることが多い。
【その4】硬化後の変形が小さく精度が高い(=寸法安定性に優れる)。
【その5】口腔内用と複印象用がある。
【その6】石膏面に影響を与えない。

硬化のしくみ 1重合反応について

シリコーンゴム印象材は2種類のペースト

  • ベース(base : 基剤きざい
  • キャタリスト(catalist : 触媒しょくばい、反応を促進させる物質)

を混ぜ合わせます。すると、重合じゅうごうという化学反応が起こり、硬化します。

重合のイメージ

出典:https://www.sumitomo.gr.jp/kids/shikumi/sumitomoseika02.html

詳しくは次のリンク先に目を通してください。

高分子化合物
化合物とは、2種類以上の元素からできている物質です。歯科材料のレジンやワックス、寒天印象材やシリコーンゴム印象材などの材料は化合物です。化合物の中でも高分子化合物こうぶんしかごうぶつに分類されます。ですので、高分子材料とよばれています。ここでは、高分子化合物について学んでいきます。高分子化合物って何だろう?中学校では、原子と分子に...

硬化のしくみ 2シリコームゴム印象材の成分と役割

シリコーンゴムの話に戻るよ

シリコーンゴム印象材は、重合反応が縮重合の縮合型しゅくごうがたと重合反応が重付加の付加型ふかがたの2種類があります。

(縮合型)シリコーンゴム印象材の成分と役割(一例)

成分ベース/キャタリスト役割
ポリジメチルシロキサンベース主成分
炭酸カルシウム、コロイダルシリカベース/キャタリスト充填剤じゅうてんざい(フィラー)
エチルシリケートキャタリスト主成分
カプリル酸スズキャタリスト硬化時間調整
左:キャタリスト 右:ベース
キャタリストとベースを混ぜる
混合したら形を整える

(付加型)シリコーンゴム印象材の成分と役割(一例)

成分ベース/キャタリスト役割
ポリジメチルシロキサンベース/キャタリスト主成分
コロイダルシリカベース/キャタリスト充填剤(フィラー)
白金触媒はっきんしょくばいキャタリスト硬化時間調整
上:ベース 下:キャタリスト
同じ量を取り出す
2つのペーストを混ぜ合わせる

ポリジメチルシロキサンは、シリコーンの一種だよ。コンタクトレンズや塗料など、身の回りでもたくさん使われているよ。 

そうなんだあ!

縮合型シリコーンゴム印象材の硬化のしくみ

  1. キャタリストとベースを混合する。

  2. エチルシリケートがポリジメチルシロキサンに作用し反応が起こる。カプリル酸スズがこの反応を促進させる。

  3. 縮合しゅくごう反応(重縮合じゅうしゅくごうが起こり、シリコーンゴムの架橋構造かきょうこうぞう(網状の構造のこと)ができ、エタノールを放出しながら硬化する

付加型シリコーンゴム印象材の硬化のしくみ

  1. キャタリストとベースを混合する。
  2. ベースに含まれるポリジメチルシロキンのSiーH基の水素原子が、キャタリストのポリジメチルシロキサンのビニル基(CH2=CH2ー)に作用し反応が起こる。白金がこの反応を促進させる。
  3. 付加ふか反応(重付加じゅうふかが起こり、シリコーンゴムの架橋構造ができ、硬化する。

シリコーンゴム印象材の硬化のしくみは難しいね。

まずは、赤字の言葉を覚えよう。

縮合反応は、その名の通り、全体が収縮するような反応だよ。だから縮合型シリコーンゴムは、硬化後に収縮するよ。

付加型シリコーンゴム印象材は、縮合型よりも新しく開発されたもので、硬化後の収縮がほとんどないよ

シリコーンゴム印象材を使うときの注意点

【その1】グローブ(手袋)に注意

シリコーンゴム印象材は、ラテックスグローブをしたままペーストを直接触ることで硬化阻害そがいされる(硬化しにくくなる、または硬化しなくなる)ことがあります。プラスチックグローブを使うようにしましょう。また、ハンドクリームの油分なども、硬化阻害の原因になることがあるので、注意しましょう。

 

【その2】付加型は、硬化後のガスの発生に注意

付加型シリコーンゴム印象材の中には、硬化反応で水素ガスが発生するものがあるので、製品の取扱説明書をよく読み、もし発生する場合は、硬化後に少し時間をおいてから石膏を注ぐようにしよう。

また、新しい言葉がたくさん出てきたけど・・・。

本日は、ここまでにしましょう。お疲れ様でした。

次回はゴム質印象材の続きと、他の印象材について解説していきます。

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