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【石膏】 2. 石膏の一般的性質 硬化時間

印象と模型製作

では、始めていきましょう。

今回は石膏はなぜかたまるのか? について、学習していくよ。

石膏は、水と混ぜると固まるんだよね。不思議だね。

接着剤が入ってるのかな?

実は、石膏と水を混ぜると化学反応が起こるから、固まるんだよ。

 

前回、私たちが使う普通石膏や硬質石膏の原料は「半水石膏」であることを学んだよね。

半水石膏と水を合わせると、化学変化が起こって「二水石膏」に変化するんだよ。

二水石膏って、石膏の原料だったよね?

ぼく、ちゃんと復習したから覚えてるよ!

えらいね!その通りだよ。

二水石膏を加熱すると半水石膏になる、とお話しました。

 

もう少し詳しくお話しすると、二水石膏は、加熱すると「脱水だっすい」という現象が起こって水の分子が減ることで、半水石膏になるんです。

 

その逆で、半水石膏に水を加えると、水分子がくっつくので二水石膏になる、というわけです。

 

石膏が硬まるしくみ

石膏が固まる仕組みについては、諸説しょせつあります。ここでは、最も有力な説について説明します。ちょっと複雑ですが、後で出てくる内容にも関係することなので頑張って理解しましょう。

半水石膏と水を混ぜるところから、図を使って説明していくよ!

半水石膏と水を混ぜます。20度の水に対して、半水石膏の溶解度ようかいどは約0.9%なので、半水石膏が溶けきれなくなると、飽和水溶液となります。

飽和状態になると、二水石膏の結晶(針状結晶しんじょうけっしょう)が成長し始めます。

二水石膏の溶解度は20度の水に約0.2%と、ほとんど溶けません。溶けないと結晶として析出せきしゅつします(表れます)。

二水石膏の結晶がさらに成長します。

時間と共に、結晶はどんどん成長して長く放射状ほうしゃじょうに広がっていきます。すると、結晶同士がぶつかり合いはじめます。

二水石膏の結晶が絡まりあいます。結晶は互いにぶつかって絡まります。この段階で石膏はかたまった状態となります。

内側のぶつかったところはそれ以上成長できなくなり、反対方向(外側方向)に結晶が成長します(硬化膨張こうかぼうちょうとよばれます)。

中学生の理科の授業で、食塩の結晶を析出させる実験を覚えているかな。溶解度を超えて溶質を加えていくと、結晶として出てくるんだよね。

石膏が「かたまる」ことを「硬化こうか」するというよ。

針状結晶しんじょうけっしょう・・・針のような形をした結晶。
結晶・・・固体のなかで、ある性質をもったもの。粒子が規則正しく並んだもの。金属や石膏などが結晶。
結晶の種類
  • イオン結合でできている結晶はイオン結晶
  • 金属結合でできている結晶は金属結晶
  • 共有結合でできている結晶を共有結晶
非晶質ひしょうしつ無定型固体むていけいこたい、アモルファス)・・・固体のなかで、ある性質をもったもの。結晶と異なり、粒子が不規則に並んでいるもの。高分子化合物であるガラスやゴムなどが非晶質。

針状結晶は、二水石膏の結晶なんだね。理科の授業で作った塩の結晶は立体的で四角い形をしていたっけ・・。中学校や高校で習った理科の内容を思い出すために、昔の教科書を読んでみようかな〜。

 

それにしても、針だらけの結晶はまるで「ウニ」みたいだなあ。

そうだね。

実際に、硬化した石膏模型の表面を顕微鏡で観察すると、針状結晶が絡まり合った状態が確認できるよ。

石膏の模型は、表面はツルツルしているのに、隙間が空いてるの? 信じられないよ〜!!

石膏模型表面の電子顕微鏡写真

本当だ!ぼくの目には石膏模型の表面は、ツルツルに見えたけど、隙間があいてる!

それに、細い結晶がビッシリ・・・!

石膏が硬化する仕組みについて、理解できたかな?

石膏の硬化時間

石膏が硬化するしくみはわかったけど、実際は、石膏が硬化するまで何分かかるの?

その時の条件にもよるけど、10〜15分くらいで硬化するよ。

でもね、石膏はいつも硬化時間が同じというわけではないんだよ。

 

 

え??硬化時間っていつも同じじゃないの?

模型を作るのに、いつも同じ時間でかたまってくれないと、作業しにくいじゃない??

そうだね。

では、まずは新しい専門用語の意味を確認をして、

それから、石膏の硬化時間に影響を与える要因についてみてみよう。

硬化時間・・・水と練和した石膏がかたまる時間。ビカー針という計測器で、石膏の硬化時間を測定することができる。
ビカーしん・・・硬化時間を計測するための細い針がついた器具。先端に細さが数ミリの針がついていて、これを石膏に刺して硬化時間を調べる。針が刺さらなくなった時が硬化時間である。
操作時間(操作余裕時間)・・・石膏を水と練和した後、硬化するまでのドロドロとした状態(流動性をもつ)の時間。この操作時間内に、石膏を型に流し込む。操作時間を過ぎると石膏がかたまり初めてしまい、型に流れにくくなる。また、空気を巻き込みやすくなってしまう。
ビカー針

石膏の硬化時間に影響を与える因子

硬化時間に影響を与える条件についてみていくよ。

 

次のような条件の時に硬化時間が変化するよ。

混水比混水比が小さい:硬化時間が短くなる

混水比が大きい:硬化時間が長くなる
練和条件練和が多い(練和時間長い・練和速度早い):硬化時間が短くなる

練和が少ない(練和時間短い・練和速度遅い):硬化時間が長くなる
温度10~40度の間で

温度が高い:硬化時間が短くなる

温度が低い:硬化時間が長くなる

40度以上で

温度が高い:硬化時間が長くなる
添加てんか物質
(硬化時間調節剤)
硬化促進剤そくしんざいを添加する:硬化時間が短くなる

硬化遅延剤ちえんざいを添加する:硬化時間が長くなる
保存ほぞん条件石膏を長く空気中に放置する:硬化時間が短くなる

風化ふうかさせる(長期間空気中に放置する):硬化時間が長くなる
硬化時間に影響を与える因子

石膏の硬化時間に影響する因子は、5つあります。どれも重要だから覚えておこうね。

 

ファストセット・・・石膏には、もともと硬化時間が短い設定の「ファストセット」がある。セット(set)は英語で硬化を意味する。早く模型の作業に取りかかりたい時や効率的に作業を進めるためには、とても便利だが、操作余裕時間が短くなるので、注意が必要である。
硬化時間調節剤・・・硬化促進剤は、硬化時間が短くなる効果がある物質、硬化遅延剤は硬化時間を長くする効果がある物質をさす。しかし、調整剤と石膏の組み合わせによって、効果が出なかったり、逆効果となったりすることがあるので、使う時は注意が必要である。

石膏の硬化時間調整剤として使われる添加物質

硬化促進剤硫酸カリウム
(K2SO4
硫酸ナトリウム
(Na2SO4
塩化カルシウム
(CaCl2
塩化ナトリウム
(NaCl)
硬化遅延剤ホウしゃコロイド性物質
(澱粉・にかわ)
血液酢酸・有機酸
硬化時間調整剤

石膏の化学反応式

ここまで、石膏の硬化のしくみについて勉強してきました。

わかったことは、半水石膏と水が反応すると二水石膏になるということでした。

次に、この反応を化学反応式で表したいと思います。

化学反応式は、反応物 → 生成物 と書くのがルールです。ですので、二水石膏が生成する化学反応式は次のようになります。

CaSO4・1/2 H2O + 3/2 H2O → CaSO4・2 H2O +熱(kJ/mol)

CaSO4・1/2 H2O・・・半水石膏  CaSO4・2 H2O・・・・・二水石膏

半水石膏
二水石膏

↓ここからは、高校化学の復習です

この反応により熱が発生します。このような化学反応を発熱反応はつねつはんのうといいます。この熱量は、水の量や石膏の粉の大きさや成分によって変わります。また、この熱量は硬質石膏よりも普通石膏の方が大きくなります。

石膏の発熱量・・・普通石膏 > 硬質石膏

この反応で石膏が硬化するのは、石膏である化合物が水と反応して新しい化合物になるからです。石膏と水との反応を水和反応すいわはんのうといい、できた化合物を水和物すいわぶつといいます。よって、二水石膏のことを二水和物にすいわぶつともいいます。また、水和反応で起こる熱を水和熱といいます。

水和反応では、水の温度が高ければ反応が早く進み、低ければ反応が遅くなります。このように、水の温度によって反応速度が変わりますので、石膏の水和反応でも同じことがいえます。

また、さん塩基えんきが出会うと酸の 「H+」 と 塩基の 「OH-」 がくっついて H2O (水)ができます。 この反応が起こったとき、酸の陰イオンと塩基の陽イオンが残りますが、これがくっついたものをえんといいます。よって二水石膏のことを、硫酸カルシウムの二水塩にすいえんともいいます。半水石膏を硫酸カルシウムの半水塩はんすいえんといいます。

二水和物・硫酸カルシウムの二水塩・・・二水石膏の別の言い方
硫酸カルシウムの半水塩・・・半水石膏の別の言い方

なるほど!

塩(しお)じゃなくて、塩(えん)って読むんだね?

本日は、ここまでにしましょう。

新しく出てきた言葉は、しっかり覚えていこうね!

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