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【レジン成形】 7. 歯冠用硬質レジン

レジン成形
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硬質レジンって何?

今回から、硬質レジンについて学習していくよ。

これまで勉強してきた義歯床用レジンとはちょっと違うんだけど、同じレジンの仲間だよ。

「硬質」って名前がつくくらいだから、きっと、とても硬いレジンなんだろうな〜

硬質レジンを使った歯のかぶせ物を、硬質レジン前装冠ぜんそうかんというよ。そして、この前装冠を作るのに使う歯冠色しかんしょく(歯と似た白っぽいクリーム色)のレジンを歯冠用硬質レジンというよ。

本物の歯みたいだね!

歯冠用硬質レジン・・・レジン前装冠を作るために用いられる歯冠色の材料。歯冠用硬質レジンの名称は、現在では変わりつつある。最近は、口腔内で直接使われる直接修復用コンポジットレジン、模型上で使う間接修復用コンポジットレジン、歯冠用コンポジットレジン、前装用コンポジットレジンなどと呼ばれる。コンポジットレジンはCRシーアールとも呼ばれる。

硬質レジン前装冠の作り方

基本硬質レジン前装冠の作り方

1 作業用模型ワックスなどを使って原型を作る。

2 後で硬質レジンを盛り上げる部分に、リテンションビーズを振りかける。

3 鋳造して、パターンを金属にする。

4 金属フレームに接着剤を塗ってからオペークレジンを塗り、光を照射して硬化させる。金属の色が見えなくなるまで数回塗る。

5 デンティン色レジンで歯冠の形を作る。

6 エナメル色レジンで歯の透明感を作る。

7 形態修正・研磨をして完成。

築盛はステップごとに行って、その都度、光重合して硬化させるよ。

【参考】歯冠用硬質レジン「ソリデックスハーデュラ」(松風)の築盛ステップ

【出典】https://www.shofu.co.jp/pickup/solidex_hd/buildup.html

歯冠用硬質レジンの種類

歯冠用硬質レジンには、目的に合わせていくつかの種類を組み合わせて歯の色を表現するよ。下の表を見てみよう。

 

歯冠用硬質レジンの色調の分類

構成組成
オペークレジン金属色を遮蔽するため、金属酸化物(
白色顔料)を多く含んでいる。
透明感はほとんどない。
デンティンレジン象牙質を再現する。ボディとも呼ばれる。
エナメルレジンエナメル質を再現する。透明感が強い。
サービカルレジン歯頚部を再現する。
ステイン歯に特徴をつけたり、色調調整に用いる。

オペークレジン

デンティン色レジン

オペークレジンはペーストだけど、デンティン色レジンは、塊みたいになってるね。

そうだね。オペークレジンやステイン以外は、写真のようなシリンジに入ってて、口紅みたいに少しずつ使う量だけをインスツルメントで取り出して使うよ。使ったら光が当たらないようにすぐに蓋を閉めようね。

 

【参考】歯冠用硬質レジン「ソリデックスハーデュラ」(松風)の色調

https://www.shofu.co.jp/product/core_sys/images/main/seihin/sikan/pdf/solidex_hd/solidex_hd_color_table.pdf

歯科技工用重合装置の種類

歯冠用硬質レジンを硬化させるためには、歯科技工用重合装置という機械を用いるよ。重合に必要な光が照射されるので、硬質レジンを使うためには必ず必要だよ。

 

歯科技工用重合装置の種類

箱型光重合器の光源主波長(nm)
キセノンフラッシュタイプ370〜700
ハロゲンタイプ400〜600
メタルハライドランプ250〜600
LEDランプ375〜495
箱型光重合器(左:蓋を閉めたところ 右:蓋を開けたところ)

【参考】歯冠用硬質レジン「ソリデックスハーデュラ」(松風)の重合条件

https://www.shofu.co.jp/product/core_sys/images/main/seihin/sikan/pdf/solidex_hd/solidex_hd_color_table.pdf

口腔内で用いる直接法用コンポジットレジンを硬化させるための光重合装置は、写真のようにペンタイプのものがよく使われます。

LED可視光線照射器

未重合層について

可視光線の照射による重合では、酸素と接する部分が重合されません。この重合されない層を未重合層といいます。ただし、未重合層があることで追加築盛したレジンが下のレジンと接着するため、必要な部分になります。

レジンと金属を結合するしくみ

次に、レジンと金属を結合させる(くっつける)仕組みについて説明していくよ!異なる2つの素材をしっかりと結合させるために、機械的維持と、化学的接着の2つを使うよ。

 

機械的維持 ① リテンションビーズ

ビーズって、キラキラしているあれとは違うの?

リテンションビーズは、も〜っと小さくて丸い粒なんだよ。

 

 

リテンションビーズ・・・硬質レジン前装冠を作る時に、金属の表面とレジンが剥がれないようにするための突起を作るためのビーズ。金属の原型を作る時に、レジンを盛る面に振りかける。ビーズの直径は、約100〜200 μm。

リテンションビーズの接着剤を塗布する
ビーズを振りかける

このビーズが鋳造されると金属になって、表面に小さな金属の粒々がついた金属フレームが出来上がるよ。

丸い形にはアンダーカットがあるので、オペークレジンを硬化させることで、レジンが金属とのアンダーカットに入り込んで、機械的な維持となるよ。

 

機械的維持 ② ブラスト処理

 

ブラスト処理・・・サンドブラストとは、細かい砂等を高圧で吹き付けることである。サンドブラスターと呼ばれる吹き付け装置を用いる。金属表面に凹凸を作ることで機械的維持と金属表面の清掃を行う処理をブラスト処理という。

化学的結合 プライマー塗布

 

プライマー・・・接着剤のこと。レジンと金属を化学的に接着させる場合のプライマーには、特に金属とレジン に働きかける機能性モノマーを含んでいる。

貴金属合金用(金銀パラジウム合金、金合金など)、非貴金属合金用(チタン合金、コバルトクロム合金)があり、貴金属用には硫黄(S)化合物を含むモノマーが用いられ、非貴金属用には酸性化合物を含むプライマーが用いられる。

歯冠用硬質レジンの組成

歯冠用硬質レジンの組成

構成組成
モノマージメタクリレート(Bis-GMA、UDMA、TEGDMAなど)
フィラーシリカ、ケイ酸塩ガラスなど
重合開始化学重合:過酸化ベンゾイル(BPO)ー第3級アミン系
光重合:カンファーキノン(CQ) ー第3級アミン系
重合禁止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)
色素

 

マトリックスレジン・・・歯冠用硬質レジンに含まれるレジン。主にBisーGMA(ビスフェノールAのジグリシジルメタクリレート)や、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)で希釈して用いる。また、BisーGMA以外に、UDMA(ウレタンジメタクリレート)が用いられることもある。UDMAの方がBisーGMAよりも吸水性が低く粘性も低い。

重合すると三次元的な架橋高分子となる。

 

フィラー・・・コンポジットレジンの硬化体の硬さや強さを向上させるために配合される。多く入れるほど強度が高いが、硬いので細かく粉砕することが難しく、現在はケイ酸塩ガラス(Si、Na、K、Ca、Al)が用いられる。X線に写るようにするため(X線に写る性質を、X線造影性という)酸化物(Ba、Sr、Al、Zrなど)が配合されている。2種類以上のフィラーが配合された製品ハイブリッドタイプという。

ところで、硬質レジンにはレジンとは異なるセラミックスのフィラー(無機質フィラー)が入っています。このレジンとセラミックス同士は、接着していなければレジンから外れてしまいます。

レジンとセラミックス同士の接着剤をシランカップリング剤といいます。セラミックスフィラーの表面処理のことをシランカップリング処理といいます。

 

シランカップリング剤・・・セラミックスとレジンを化学的に接着させる物質。フィラーのケイ酸塩ガラスはセラミックスのため、レジンの内部に留めておくために予めシランカップリング処理をされることで、レジンと化学的に接着するようになる。代表的なシランカップリング剤はγーMPTS(γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)である。

CAD/CAM用コンポジットレジン(切削加工用コンポジットレジン)

CAD/CAM用コンポジットレジン は、コンピュータで設計した三次元的な被せ物の形状データを使って、機械でブロックを切削して成形するよ。

2014年4月に、この材料を小臼歯部に使う場合に、保険に導入されたよ(条件あり)。

今は、小臼歯用と大臼歯用のブロックが販売されているよ。今まで勉強してきた歯冠用硬質レジンと同じで、コンポジットレジンとフィラーからできているよ。直接・間接修復用コンポジットレジンよりも強度が高いのが特徴だよ。

【参考】CAD/CAM用コンポジットレジン「セラスマート270」(ジーシー)

出典:https://www.gcdental.co.jp/sys/data/item/doc/1589/

【参考】小臼歯のCAD/CAM冠製作

03 Cad Cam冠 セラスマート
出典:https://www.youtube.com/watch?v=pmUjqFXdnzo コアデンタルラボ横浜株式会社チャンネルより

【参考】大臼歯のCAD/CAM冠製作

​①セラスマート300を使った大臼歯CADCAM冠の製作
出典:https://www.youtube.com/watch?v=RxGcdSbflrk コアデンタルラボ横浜株式会社チャンネルより

金属アレルギーをもつ患者さんや、見た目を気にする方でも保険で治療が受けられるということで広まっているよ。

ただし、作る場合には歯科用CAD/CAM装置一式が必要だよ。まだ新しい材料で、今後も製品のラインナップが増えていくと言われているよ。

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