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【レジン成形】 6. その他の床用レジン 熱可塑性レジン

レジン成形
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加熱重合レジンと、常温重合レジンの2つについて勉強してきましたね。義歯床用レジンの性質も合わせて、理解できたかな?

難しいこともたくさんあって、完璧じゃないけど、面白いね。

今回は何について勉強するの??

今回は、今まで出てきた2種類の義歯床用レジン以外について見ていこう。

特殊な加熱重合レジン 1 ヒートショックレジン 

ヒートショックって初めて聞いたよ。なんだろう?

そうだね。人が暖かい部屋から寒い部屋への移動すると温度の急な変化で体にショックを与えるよ。これをヒートショックっていうんだ。

 

ヒートショックレジンは、加熱重合レジンの仲間だよ。

100℃に沸騰した水に入れて10〜15分の加熱で重合が完了するタイプのレジンだよ。

普通の加熱重合レジンは、いきなり100℃の熱湯には入られられないんだよね。

ヒートショックレジンを使えば、重合の時間が短くできるね!便利かも!

そうだね。義歯を1つ作るのに長い時間が必要だから、作業が短縮できると助かるね。

ヒートショックレジン・・・加熱重合レジンの一種。100℃で10〜15分と短い時間でが重合が完了する。急激な温度上昇によるモノマーの沸騰を防ぐため第3級アミンが少量含まれている。

特殊な加熱重合レジン 2 マイクロ波重合レジン 

マイクロ波って何だろう??

私たちが普段使っている電子レンジから出るのがマイクロ波だよ。マイクロ波を照射することで物質の分子を振動させて、その摩擦熱で物の温度を上昇させるよ。

 

マイクロ波重合レジンも加熱重合レジンの仲間で、電子レンジで重合ができるタイプのレジンだよ。

マイクロ波重合レジン・・・加熱重合レジンの一種。マイクロ波を使って重合を行うレジン。マイクロ波を通す専用のFRPフラスク を使う。石膏中の水分が加熱され、数分で重合が完了する。

FRPフラスク

出典:https://www.gcdental.co.jp/sys/data/item/173/

レンジでチンするなんて画期的!!でも、専用の容器が必要なんだね。ぼくは、作業を早く進めたいせっかちな性格だから、早く重合できる材料が気になるよ。

特殊な義歯床用レジン 3 熱可塑性レジン

加熱すると軟化し、冷ますと硬化するレジンを熱可塑性ねつかそせいレジン といいます。

熱可塑性レジンって、確か、一番最初にレジンを勉強した時に出てきた言葉だったよね??

そうだね。最初に、レジンには熱硬化性レジンと熱可塑性レジンがあるという話をしました。

そうだったね。少し前のことだから忘れてたよ!

熱可塑性レジンはその名の通り、熱を加えると可塑性(自由に形が変えられる性質)を持つ材料だよ。

熱可塑性レジン の成形法「射出成形法」

一般的に、熱可塑性レジンの成形方法には、押出おしだし成形法やブロー成形法など色々あります。ペットボトルの容器などは、ブロー成形法で作られています。その中でよく使われるのが射出成形法しゃしゅつせいけいです。

射出成形法とは

射出成形法・・・高温に加熱したシリンダーと呼ばれる機械の内部に、熱可塑性レジンを入れて溶かし、それを型に流し込んで冷やして形を作る方法。どろどろのレジンが型に流し込まれる様子が、注射器の作用に似ているので、射出成形法と呼ばれる。

工業用に使われる熱可塑性レジン

熱可塑性レジンの原料
出典:http://uclid-f.com/how.htm
射出成形器から出てくるレジン
出典;http://uclid-f.com/how.htm

【参考】http://uclid-f.com/how.htm

熱可塑性レジン 1 熱可塑性アクリルレジン

熱可塑性アクリルレジン・・・成分は加熱重合レジンと同じPMMA(アクリルレジン)。射出成形法で成形する。70〜80℃までの温度に耐えられる。

製品(例)アクリショット(デンケン・ハイデンタル株式会社)

出典:http://www.kdf.co.jp/japanese/materials/m05/m05_2

加熱重合レジンと違い、ペレットの型(粒状)で販売されているんだ。

専用の機械を使って成形するよ。

熱可塑性レジン 2 ポリスルフォン(ポリスルホン)レジン(PSF)

ポリスルフォンレジンもアクリルレジンと同じ、高分子化合物の一つだよ。

ポリスルホンレジン・・・1965年にUCC社(現ソルベイスペシャルティポリマーズ社)により開発されたスーパーエンジニアリングプラスチック(高機能プラスチック)。スルホン基(-SO2-)を含み、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)と、ビスフェノールAのナトリウム塩との脱塩重縮合により合成される。150℃までの熱に耐える。衝撃に強く、メチルメタクリレートタクリレート(MMA)アレルギーでも使える。ただし、ビスフェノールAが体内に入ると、低用量でも毒性が認められたため、現在はほとんど使用されていない。

【参考】ビスフェノールAについて(厚生労働省)

ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省
ビスフェノールAについてのQ&Aについて紹介しています。

熱可塑性レジン 3 ポリエーテルスルフォンレジン(PES)

ポリエーテルスルフォンも、高分子化合物の一つだよ。衝撃に強い性質を持つよ。このレジンを使って義歯を作るときは、射出成形法ではなく、圧縮成形法という方法を使って成形するよ。

具体的には、高温に加熱したフラスクに軟化したレジンのプレートを入れて上下から挟み込んで加圧して成形するよ。 

だから、ポリエーテルスルフォンレジンを使うためには、専用のフラスクや模型、圧縮成形器が必要だよ。

ポリエーテルスルフォンレジン・・・1970年代に英国のICI社(現ビクトレックス社)により開発された、比較的新しいスーパーエンジニアリングプラスチック。エーテル基(-O-)とスルホン基(-SO2-)を含み、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)と、ビスフェノールS(Bis-S)との脱塩重縮合により合成される。

熱可塑性レジン 4 ポリカーボネートレジン(PC)

ポリカーボネートも、高分子化合物の一つだよ。衝撃に強い性質を持つよ。

ポリカーボネートレジン・・・1958年にドイツで開発されたものが広まった、二価のヒドロキシ化合物と炭酸の重縮合により得られるポリエステル。射出成形法で成形する。120〜130℃程度までの高温に耐えるレジンで、無色透明、衝撃に強い性質を持つ。吸水性が低く、成形時の収縮も小さいので比較的寸法安定性に優れる。ポリカーボネートレジンを使った義歯を「スルフォン義歯」と呼ぶこともある。

製品(例)義歯床用強化ポリカーボネート樹脂 (東伸洋行株式会社)

出典:http://www.tong-sing.co.jp/web/product/polyca_01.html

今紹介した、ポリスルフォンレジン、ポリエーテルスルフォンレジン、ポリカーボネートレジンは衝撃に強い性質を持つけれど、

人工歯に化学的に接着しないという欠点があるんだ。

また、壊れた時の修理が難しいんだ。

熱可塑性レジン 5 ポリアミド系レジン(ナイロン樹脂)/ポリカーボネート系レジン(ポリエステル樹脂)

金属製の部品を使わない部分床義歯を、ノンクラスプデンチャーという。義歯床部分が柔らかいため、通常の入れ歯よりも粘膜が痛くなりにくい。ノンクラスプデンチャーに用いられるレジンは、ナイロン樹脂ポリエステル樹脂などがある。射出成形法で成形する。

【参考】ノンクラスプデンチャーを取り扱う歯科技工所

ノンクラスプデンチャー | 審美系義歯や高精度義歯は株式会社足利セラミックラボラトリーで
金属バネのない、審美性の高いノンクラスプデンチャーは破折時の修理も可能な素材や柔らかい素材のものなど様々なものを取り扱っております。
ノンクラスプデンチャー・・・通常の義歯床用アクリルレジンと比べて、曲げ強さや曲げ弾性係数が小さいが、たわみが大きく、折れたりしない。また、金属アレルギーでも使うことができ、口腔内に装着しても金属製の金具がないので自然で目立ちにくく審美的に優れているなどのメリットがある。ただし耐用年数は2〜3年程度と短い。

これで義歯床用レジンは終わりです。次回は、硬質レジンについて勉強していくよ。

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