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【レジン成形】 4. 義歯床用レジンの一般的性質1 残留モノマー・成形収縮・変形(適合性)

レジン成形
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これまでに、義歯床用レジンの使い方や硬化のしくみ、成分などについて、勉強しました。

義歯床用レジンは、加熱重合レジンと、常温重合レジンの

2つがあるんだよね。

そうだね。今回は、2種類の義歯床用レジンの一般的性質についてみていくよ。

重合したレジンの性質を知ると、作業する注意点も見えてくるよ。

 

まず最初に、加熱重合型義歯床用レジンを使う場面をもう一度、思い出してほしいんだ。

1. 混和こんわ

義歯床用加熱重合レジンのポリマーとモノマーを、レジン混和器こんわきに入れる。

2.塡入てんにゅう

レジンがもち状になったら取り出し、フラスコの中の義歯の型につめて蓋をして圧をかける。

3. 重合じゅうごう

重合槽じゅうごうそうに70℃の熱湯を用意し、フラスクを入れ1時間加熱する。

その後、100℃で30分加熱する。そのまま常温まで冷ます。

重合槽
温度や時間を調整するパネル

思い出したよ。

加熱重合レジンは、お湯でグツグツ煮て重合するんだよね。

1 残留モノマー

加熱重合レジンは「重合」の工程で収縮します。具体的には、重合収縮熱収縮が起こります。詳しく見てみましょう。

混和した時のレジンだよ。

ポリマーであるPMMAの中に、モノマーのMMAが染み込んで、餅状になるんだよね。

そうだね。このポリマーとモノマーを混和する工程では、まだ重合は始まってないよ。

この混和工程が、重合だと勘違いしてしまう人が結構多いんだ。

 

あくまでもポリマーにモノマーが染み込んでいるだけだから、気をつけよう。

 

次に、塡入しているところの図を見てみよう。

次に、フラスク ごとレジンを加熱するよ。

ここからが重合工程だよ。

何度も言うけど、加熱してから、レジンの重合反応が始まるからね。

次に、100度の熱湯にフラスク を入れて約30分 加熱していくよ。

レジンが重合されたね!

こうしてMMAはPMMAになり重合が終わるよ。

でも重合してもMMAが残ってしまうことがあるんだ。

この、重合後に残ってしまったMMAを残留ざんりゅうモノマーというよ。

残留モノマー・・・

重合過程でPMMAになれなかったMMAのこと。加熱重合レジンの残留モノマーの割合は0.2~0.3%である。未反応モノマーともいう。

残留モノマーの量は、重合度重合でMMAがPMMAになる割合)が関係している。重合度が大きくなれば残留モノマーが少なくなり、重合度が小さいと残留モノマーが多くなる。

常温重合レジンは加熱重合レジンと比べて重合度が小さく、残留モノマーは2~5%である。

残留モノマーは為害作用いがいさよう(人体へ悪影響を及ぼす作用)を持ち、口腔粘膜への刺激やアレルギー反応を起こさせる可能性がある。また、重合体の強さや硬さが低下したり、変形、着色の原因となるので、できるだけ少ない方が良い。

モノマー自体は水溶性のため、重合体を水中に保存して溶出させることで低減させることができる。

2 成形収縮(重合収縮・熱収縮)

そして、ここからとても大事な説明をするよ。

 

重合工程では、二つの収縮が起きています

一つは、MMAがPMMAになることで起こる重合収縮

もう一つは、100℃に加熱されて熱膨張したレジンが常温に冷めることで起こる熱収縮だよ。

重合収縮・・・重合でMMAがPMMAになる反応で起こる収縮のこと。ポリマー:モノマー=2〜2.5:1で使うとき、理論的には、加熱重合レジンは、体積収縮で約7%線収縮で2.3%重合収縮が起こる。

熱収縮・・・レジン重合で高温から常温に冷ます時に起こる温度差による収縮のこと。

重合反応では反応によって生じる重合熱が発生する。つまり、重合時にはレジンの周囲の環境温度とレジンそのものが高温になる。重合後の冷却工程では、レジンのガラス転移点である70℃以下になるとガラス状態(硬い状態)になる。このときレジンは収縮する。仮に、100℃から25℃まで冷却すると線収縮で0.6%熱収縮が起こる。

成形収縮・・・重合収縮と熱収縮2つを成形によって生じた収縮で成形収縮と呼ぶ。

3 変形(適合性)

「レジンは重合すると収縮する」ってことはよく分かったけど、

それは一体、何と関係があるの?レジンがちょっと小さくなるだけなら問題ないんじゃないの?

この成形収縮で影響を受けるのが「レジンの変形」なんだ。

変形するってことはつまり、元の原型と形が変わってしまうってこと。入れ歯の適合てきごうが悪くなってしまうんだ。

適合っていうのは、お口の粘膜にぴったり合うかどうかを意味するよ。適合が良い=お口にぴったり合う、適合が悪い=お口に合わない、だよ。

えええ!!入れ歯がお口に合わないと、ちゃんとお喋りしたりできないし、食事してても外れちゃうよね・・・。

重合収縮と熱収縮によって、レジンの内部では様々な力が加わり、レジンに内部応力が蓄積されるんだよ。内部応力はワックスの単元で勉強したね。

重合が完了して、内部応力が解放されることによって、変形が起こるんだ。しかも、入れ歯の形は場所によって厚みが均一ではないから、その変形は複雑に現れるよ。薄い部分ほど変形しやすいね。

どうしたら適合が良い入れ歯を作れるのかな??

レジンを取り扱うときに、正しい操作をしていれば、それほど大きな変形は起こらないよ。

次の、変形の原因となる要素に気をつけて作業しようね。

  • 混和工程で、モノマーの量が多い
  • 塡入工程で、型にいれるレジンの量が足りない
  • 塡入工程で、型にしっかり圧がかかっていない
  • 重合工程で、圧がかかっていない
  • 重合工程で、急激に加熱してしまう
  • 重合工程で、時間が不足している
  • 割り出しで、急冷する(急激に温度を下げる)
  • 割り出しで、冷却が不十分である

義歯床用レジンの一般的性質2 に続きます。

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