レジンって何?

今回から、レジンについて学習していくよ。
以前、原型材料のところでレジンの話を少ししたよね。

覚えてるよ。レジンで綺麗なアクセサリーとか作るんだよね。

そもそもレジン(resin)は、「樹脂(プラスチック)」を意味するよ。樹脂には天然樹脂と合成樹脂があって、ここで使う「レジン」ということばは、合成樹脂を意味しているよ。軽くて、加工しやすく、色や硬さの違う素材が豊富にあるから、私たちの身の回りでも幅広く使われているよ。



最近よく見かける、飛沫防止のための透明で硬くてアクリル樹脂も、合成樹脂だよ。

ぼくも、見たことあるよ!

アクリル樹脂は、入れ歯の材料としても使われているよ。
ここで、レジンを使う技工物を少し紹介するね。







レジンは、いろいろな技工物に使われているんだね!
早く作ってみたいな!

レジンは2種類あるの?

熱硬化性は「卵」をイメージしてみよう。加熱すると固まるよね。熱を加えるとかたくなり、一度固まると熱を加えても再びやわらかくならない性質があるのが熱硬化性だよ。


熱可塑性は「チョコレート」をイメージしよう。加熱すると、溶けて冷やすと固まるね。熱を加えると溶けてやわらかくなり、冷やすと固まる性質をもち、1度硬くなっても 熱を加えると再びやわらかくなる性質があるものが熱可塑性だよ。


レジンは一般の方向けに様々な動画が出ているからチェックしてね。こちらの動画は、光重合型レジン(UVレジン)という、光(紫外線)で固まるタイプのレジンを使っているよ。
出典:https://www.youtube.com/watch?time_continue=11&v=3lV2SYSjy9w&feature=emb_logo

こちらの動画は、エポキシレジンという、2種類のレジンをまぜて固まるタイプのレジンを使っているよ。
出典:https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=Jf30AqPemmA&feature=emb_logo

レジンって透明で、とってもきれいだね。僕も作ってみたいな!
レジンを使った義歯(入れ歯)の作り方

下の写真を見てください。ここでは、歯を全て失った人のための義歯「全部床義歯」の基本的な作り方を紹介します。
ちなみに、歯が残っている人の義歯は「部分床義歯」と言います。


【基本】加熱重合レジンを使った入れ歯(全部床義歯)の作り方
【原型製作】模型上で入れ歯の原型を作る作業です。
1 作業用模型上で、 パラフィンワックスと人工歯(人工的に作られた歯)などを使って入れ歯の原型を作る。

【埋没】石膏で入れ歯の原型を埋め立てる作業です。
2 石膏を練和し、1で作成した原型と模型をフラスク(図の容器)の中に埋め立てる。


【流蝋】石膏で包まれたワックス部分を取り除く作業です。
3 フラスクを熱湯で温め、埋没した原型のワックス部分を軟化させます。
4 フラスクを開けて、ワックスを全て取り除きます。

5 石膏模型面に分離材を塗ります。
【塡入】柔らかくしたレジンを型につめる作業です。
6 義歯床用加熱重合レジン(レジンの粉と液)をレジン混和器(レジンを使うときの専用容器)に入れる。(23℃で約20分)。

7 レジンが餅のような固まりになったら取り出し、型につめる。


8 フラスクを閉めて、プレス器で上から圧をかけて型の隅々までレジンをつめる。
*写真のフラスク は電子レンジで加熱できるタイプのフラスク です。

【重合】レジンを加熱して硬化させる作業です。
9 重合槽に70℃の熱湯を用意し、フラスクを入れて1時間加熱する。その後温度を100℃に上げて30分加熱する。


【割り出し・研磨】
10 フラスコを開き、重合した義歯を取り出す。

11 形態修正、研磨を行い完成。


入れ歯の作り方を紹介した動画や、写真が充実したホームページもありますので、リンクを参考にしてくださいね。
【参考】入れ歯作りの動画
【参考】入れ歯が出来るまでの流れ
出典:http://www.yamanashi-min.jp/kofu-kdc/DentureProductSystem_Info.htm
こちらのサイトにはさらに詳しい全部床義歯の作り方が紹介されていますので、参考にしてください。
義歯床用レジンって何だろう?

まずは、義歯を作るためのレジンについて説明します。
図のような、義歯のピンク色の部分を義歯床といいます。そして、この部分を作る材料を義歯床用レジンといいます。

義歯床用レジン・・・義歯床を作るためのレジンのこと。
義歯床用レジンの種類

義歯床用レジンには、重合型アクリルレジンと熱可塑性レジンの2つがあるよ。下の表を見てみよう。
義歯床用レジンの分類
分類 | 特徴 | 種類 |
重合型 アクリルレジン | 粉と液を混ぜ、 化学反応させることで硬化する。 | 加熱重合レジン 常温重合レジン ヒートショックレジン マイクロ波重合レジン 光重合レジン |
熱可塑性レジン | 粒状(ペレット)のレジンを 加熱し軟化させ、冷めると硬化する。 | ポリスルホンレジン ポリカーボネートレジン ポリエーテルスルフォン 熱可塑性アクリルレジン ナイロン樹脂 ポリエステル樹脂 |

さっきのお話だと、熱で固まるタイプと熱で柔らかくなって冷ますと固まるタイプがあるんだよね。

そうだね。重合型アクリルレジンは、熱硬化性レジンに当てはまるよ。
ただし、硬化促進剤を混ぜて加熱せずに成形する方法もあるよ。別の回で詳しく説明するね。
義歯床用レジンの材料の見た目の違い

人工歯って何だろう?

次に、義歯に使う人工歯について説明していくよ!

人工歯・・・義歯の歯冠の部分を作るための、人工的に作られた歯。前歯の部分に使う前歯部用人工歯と、奥歯の部分に使う臼歯部用人工歯がある。


人工歯にはどんな種類があるの?

レジン歯、硬質レジン歯、陶歯の3種類があるよ。
人工歯の種類
種類 | 特徴 | 原料 |
レジン歯 | ポリメチルメタクリレートが主成分 | ポリメチルメタクリレート |
硬質レジン歯 | ポリメチルメタクリレートと 硬質レジン(コンポジットレジン)の 2種類のレジンを使った人工歯。 レジン歯と比べて強度が大きい。 | ポリメチルメタクリレート 硬質レジン(コンポジットレジン) |
陶歯 | レジンを使わず、セラミックスの 原料で作られた人工歯。 透明感があり、強度も大きい。 ただし、義歯床用レジンと化学的に 結合しない(くっつかない)。また、 もろくて折れやすい。 | 長石 石英 陶土 |

臨床で一番よく使われるのは、硬質レジン歯だよ。
硬質レジン歯の原料であるポリメチルメタクリレートは、義歯床にも使われるレジンで、一般的にはアクリル樹脂って言われるよ。覚えておこうね。

レジンは、本当に色々なことに使うんだね。
入れ歯のピンク色の部分だけじゃなく、歯もレジンでできているんだ!

そうだね。レジン歯と硬質レジン歯はレジンでできているね。
一方で陶歯は、セラミックスでできているんだよ。セラミックスについては、レジンの後に勉強するからね。
今回は、ここまでにしましょう。次回は義歯床用レジンについて、さらに詳しくお話ししたいと思います。
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